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国際税制

 

剰余金の配当等の確定事業年度が改正前事業年度となり剰余金の配当等の受取り(外国源泉税課税)事業年度が改正後事業年度となる場合の外国税額控除等の取扱い

『最新 国際的二重課税排除の制度と実務-』の追記情報を併せてご参照願います。

 剰余金の配当等の確定が平成21年度改正前の旧法令の適用事業年度で、剰余金の配当等の受取り(外国源泉税課税)が平成21年度改正後の新法令の適用事業年度である場合には、その剰余金の配当等については、外国子会社配当等益金不算入制度の適用を受けることができず、間接外国税額控除の適用を受けることができるものの、その剰余金の配当等の受取り時に課された外国源泉税については、直接外国税額控除の適用を受けることができないこととなる、と考えられます。

 

 外国子会社配当等益金不算入の規定は、「内国法人が施行日以後に開始する事業年度において・・・外国子会社から受ける・・・剰余金の配当等の額について適用する。」(改正法附則6)とされており、剰余金の配当等の確定ベースにより適用事業年度が決まります。

 

 一方、直接外国税額控除は、「・・・内国法人の施行日以後に開始する事業年度において納付することとなる・・・外国法人税について適用し、内国法人の施行日前に開始した事業年度において納付することとなった・・・外国法人税については、なお従前の例による。」(改正法附則12①)こととされていますが、剰余金の配当等に課される源泉税は、その剰余金の配当等の支払いに伴って発生する税ですから、その剰余金の配当等の支払いを受けて初めてその税を認識し、その支払いの日の属する事業年度において直接外国税額控除の適用を受ける、ということになります。

 

 このため、下図のように平成21年3月31日以前に剰余金の配当等の受取りが確定し、平成21年4月1日以後に配当等を受け取る(外国源泉税が課される)場合には、剰余金の配当等の確定が改正前であることから、外国子会社配当等益金不算入制度の規定の適用はなく、間接外国税額控除の規定の適用が可能ですが、外国源泉税の納付が改正後であることから、直接外国税額控除の規定の適用を受けることはできない(注)、と考えられます。

 

(注)平成21年度改正後の直接外国税額控除の規定においては、「外国法人税の額」から「法第23条の2第1項に規定する外国子会社から受ける同項に規定する剰余金の配当等の額を課税標準として課される外国法人税の額(・・・)」(法令142の3⑦三)が除かれているため、外国源泉税は、その剰余金の配当等が外国子会社配当等益金不算入制度(法法23の2)の適用を受けるか否かに関らず、直接外国税額控除の適用を受けることが出来ません。