Q&A

公益法人税制

 

1.人格のない社団等の法人化


 人格のない社団等として活動していた団体が、一般社団法人を設立して、所有していた財産を寄附した場合、一般社団法人側の寄附金収入は、税務上、どのように取り扱うこととなるのでしょうか。

① 特定普通法人になった場合は、全所得課税なので、法人税課税の対象となる。

② 非営利型法人になった場合は、収益事業課税なので、法人税課税の対象とはならない。

 寄附を受ける一般社団法人が非営利型法人(法法2九の二、法令3)に該当するか否かで課税関係が異なります。

 

 非営利型法人に該当する一般社団法人は法人税法別表第2に掲げられている公益法人等とされることから収益事業を行う場合に限り納税義務を負うこととされており(法法4①)、非営利型法人の要件に該当しない一般社団法人は普通法人として全ての所得に対して課税されることとなっています。

 

 このため、非営利型法人に該当する一般社団法人の場合には、寄付を受ける行為が収益事業に該当するのか否かが問題となりますが、寄付を受ける行為は法人税法施行令5条1項各号に掲げられた収益事業には該当しませんので、受け入れた寄附金の額は、法人税の課税対象とはなりません。

 

 また、非営利型法人に該当しない一般社団法人の場合には、寄附金の受入れが法人税法22条2項の無償による資産の譲受けに該当し、同条5項の資本等取引に該当しないことから、受け入れた寄附金の額は、法人税の課税対象として益金の額に算入する必要があります。

 

 なお、非営利型法人に該当する一般社団法人の場合には、受け入れた寄附金の課税上の取扱いに疑義が生じないように、収益事業と非収益事業の区分経理(法令6)を適切に行っておくべきであると考えます。