消費税引上げを前に進む課税の適正化〜11年度改正

2012年01月18日 - 税務関連情報

 消費税増税の議論がいよいよ本格化しているが、国民に負担増を求めることと併せて、消費税制度の信頼性を確保するための一層の課税の適正化が着々と進められている。2011年度改正においては、(1)免税事業者の要件の見直し、(2)いわゆる「95%ルール」の見直し、(3)還付申告書に係る添付書類の提出義務化、(4)消費税の不正受還付罪の未遂罪の創設、などの見直しが行われている。

 免税事業者の要件については、改正前は当期の扱いは前々期の課税売上高のみで判定することから、前期に売上高が急増しても、課税事業者となるのは翌期からだったが、課税売上高が上半期で1000万円を超える場合には、その翌期から課税事業者とすることとされた(ただし、売上高に代えて支払給与の額で判定することもできる)。この改正は、その年または事業年度が2013年1月以後に開始するものについて適用する。

 いわゆる「95%ルール」は、非課税売上に対応する仕入については仕入税額控除を認めないのが原則だが、売上のほとんど(95%以上)が課税売上の場合は、全ての仕入れについて仕入税額控除を認めるもの。改正では、事業者の事務負担に配慮する観点から講じられている制度の趣旨に鑑み、この制度の対象者が、1年間の課税売上高が5億円以下の事業者に限定される。この改正は、2012年4月以後に開始する事業年度から適用する。

 また、消費税の還付申告の際、消費税の確定申告書に添付する「仕入税額控除に関する明細書」の提出は任意であるため、強制力がなく、提出を拒否する事業者もいた。そこで、不正還付防止のための内部審査を強化するため、「仕入税額控除に関する明細書」の記載内容を充実させたうえで、その提出を法令で義務化した。この改正は、2012年4月以後に提出する還付申告書について適用する。

 さらに、消費税の不正受還付罪の未遂罪が創設された。かねてより、架空仕入れを偽装するなどの方法で、虚偽の還付申告を行う事例が発生していたが、消費税法の不正受還付罪には未遂罪を処罰する規定がなく、実際に還付金の受領がない限り処罰されなかった。そこで、悪質な不正還付請求事案に対処するため、不正受還付の未遂罪を創設したもの。この改正は、2011年8月30日以後にした違反行為についてすでに適用されている。