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どこがどうなる!? 税制改正の要点解説<平成22年度>

朝長 英樹【監修】

どこがどうなる!? 税制改正の要点解説<平成22年度>

単行本・206ページ

清文社(2009/03)

定価1,470円(税込)

 

本書の概要

 平成22年度に導入される税制改正事項の概要と要点を、図表や事例を掲げ、ポイントを絞った内容でコンパクトにわかりやすく解説。

はしがき

 

 平成22年度税制改正は、昨年夏の政権交代後の最初の改正であり、注目度の高いものになっています。

 

 政権交代後、間もない改正でもあり、改正内容は予想に反してあまり大きなものとはなっていませんが、与党税調を廃止するなど、税制改正のプロセスから見直しを行い、租税特別借護法の積極的な廃止縮減を行うなど、従来とはかなり異なる方法によって改革が行われています。

 

 このような平成22年度税制改正のプロセスの改革は、基本的には評価に値するものと言えるでしょう。

 

 また、平成22年度税制改正の内容に関しては、民主党のマニフェストに掲げられたものの一部のみが実現したという状態となっていますが、政権交代後の期間が短かったことを考慮すると、相当な規模の改正が行われたと言ってよい、と考えます。

 

 それぞれの税目をみてみると、まず、個人所得税においては、「所得控除から手当へ」等の観点から子ども手当ての創設、扶養控除の廃止縮減などが行われます。

 

 一方、法人税においては、特殊支配同族会社に係る税制が廃止されるとともに、いわゆるグループ法人税制が創設され、連結納税制度や資本に間する税制の見直しが行われます。

 

 このグループ法人税制に関しては、連結納税制度とは異なり、100%グループに強制適用されるため、その対象となる法人の範囲が非常に広くなりますし、その影響も広範に及ぶこととなります。この税制の最も特徴的な取扱いは、連結納税制度におけるグループ内の資産等の取引に伴って生ずる譲渡損益の計上の繰延べ借着ですが、これに100%グループ内の配当の受取配当等益金不算入における負債利子控除の廃止の改正が加わる等により、わが国の企業グループの100%グループ化か急速に進むことが想定されます。

 

 また、グループ法人税制における上記の譲渡損益の計上の繰延べ等を利用して、株主の株式価値の引下げによる相続税対策を行うケースが相当に増加することもありうるでしょう。

 

 このように、このグループ法人税制は、税制によって企業のあり方が大きく変わることに対してどのように考えるべきか、また、税目を超えた制度設計が必要ではないか等の議論の契機となるのではないかと思われます。

 

 国際税制に関しても、外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)において創設以来の重要な改正が行われます。

 

 外国子会社合算税制は、昨年度の改正により、大きくその性格を変えたわけですが、平成22年度改正により、更に大きくその性格を変えてアメリカにおける制度に近づくこととなりますが、本来は、その是非について十分な検討が行われるべきであったと考えます。

 

 その他、租税特別措置の大幅な廃止縮減が行われ、いわゆる租特透明化法案が国会に提出されています。

 

 いずれにしても、平成22年度改正は、内容、量とも従来の改正とあまり変わらないものとなっていますので、気を緩めず、しっかりと改正内容を確認して対策を講ずる必要があります。

 

 なお、本書は、主に『平成22年度税制改正大綱』(税制調査会)に基づいて起稿したものですが、読者の皆様の多くが本書を活用される時期が同改正法案の国会通過後となると想定されることから、本書においては、読者の皆様の便宜を考慮し、現行の取扱いを「改正前」、同改正法案による取扱いを「改正後」等と表示している部分があることを予めお断りしておきます。

 

 本書が皆様の実務に少しでもお役に立てるようであれば、幸いです。

 

 編者を代表して 日本税制研究所 代表理事 朝長英樹
         税理士 竹内陽一

もくじ

 

Ⅰ 新しい税制調査会と税制改革の課題
 1 我が国を取り巻く環境の変化と新政権の対応・007
 2 税制改革に当たっての基本的考え方・008
 3 新しい税制改正の仕組み・009
 4 納税環境の整備・014
 5 各税目の改革・016

Ⅱ 個人所得課税関係の改正
 1 扶養控除の見直し・024
 2 子ども手当の創設・028
 3 高校実質無償化・029
 4 同居特別障害者加算の特例の改組・029
 5 諸控除の見直しに伴う所要の措置・031
 6 生命保険料控除の改組・032
 7 確定拠出年金制度の改正・034
 8 国民健康保険税の改正・038
 9 寄附合控除の改正・040
 10 金融証券税制の改正・043
  ① 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非
    課税措置の創設・043
  ② 上場会社等の自己株式の公開買付けの場合のみなし配当課税の特例
    の廃止・046
  ③ 上場株式等の取得費の特例の廃止・047
  ④ 譲渡益課税の対象となる公社債の範囲の追加・047
  ⑤ 先物取引に開する調書制度の取引追加・048
  ⑥ 金融証券税制のまとめ・049
  ⑦ 金融商品間の損益通算の範囲拡大・053
 11 特定の居住用財産の買換え等の場合の長期譲渡所得の課税の特例・053
 12 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失・055
 13 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除・056
 14 給与所得者の住宅資金貸付・056

Ⅲ 資産課税関係その他の改正
 1 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税借款の延長及び拡充・058
 2 住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例延長・061
 3 小規模宅地等の課税の特例の見直し・063
 4 非上場株式等の納税猶予の見直し・071
 5 定期金に関する権利の評価方法の見直し・077
 6 相続税の障害者控除の改正・079
 7 小規模企業共済制度・080
 8 中小企業退職金共済制度・083
 9 固定資産税等の改正・085
 10 消費税 仕入税額控除の適正化・087
 11 認定NPO法人の認定審査の改正・092
 12 納税環境の整備・098

Ⅳ 法人課税関係の改正
 1 グループ内取引等に係る税制の創設・102
  ① 制度創設の趣旨・102
  ② 100%グループ内法人間取引の損益の調整・104
  ③ 非適格株式交換に係る株式交換完金子法人等の有する資産の時価評
    価・109
  ④ 100%グループ内の法人間の寄附・T109
  ⑤ 100%グループ内の法人間の資本関連取引・111
  ⑥ 中小企業向け特例措置の欠法人100%子法人に対する適用・117
 2 資本に関係する取引等に係る税制・118
  ① みなし配当の際の譲濠損益の改正・n8
  ② みなし配当の益金不算入制限・119
  ③ 抱合株式・120
  ④ 清算所得課税・121
  ⑤ その他の改疋・123
 3 連結納税制度の改正・130
  ① みなし連結欠損金額・130
  ② 承認申請・136
  ③ 加入法人の加入時期特例・137
  ④ 連結納税の開始又は連結グループ加入に伴う資産の時価評価・138
 4 法人事業税資本割の無償減資等特例・139
 5 特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度の廃止・140
 6 中小法人に対する軽減税率引下げの見送り・145
 7 中小企業投資促進税制の延長・147
 8 中小企業者等の少額減価償却資産即時償却制度の延長・149
 9 交際費等の課税の特例(中小法人における損金算入の特例)の延長・150
 10 中小企業者等以外の法人の欠損金繰戻し還付制度不適用措置の適用期限
   延長・151
 11 研究開発促進税制の延長・152
 12 障害者雇用促進等・156
 13 中小企業等基盤強化税制に開する改正・161
 14 情報基盤強化税制の廃止・163
 15 産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措叙法に開する登録免
   許税の改正等・164
 16 中小企業倒産防止共済制度の拡充・166

Ⅴ 国際課税関係の改正
 1 外国子会社合算税制等の見直し・169
  ① 改正前制度の概要・169
  ② トリガー税率の引下げ・170
  ③ 保有割合要件の引上げ・171
  ④ 適用除外基準の見直し・171
  ⑤ 特定外国子会社等に係る資産性所得合算課税制度の導入・174
  ⑥ 持分要件のない非課税配当の非課税所得からの除外・178
  ⑦ 外国子会社合算税制の適用を受ける外国孫会社から外国法人を経由
    して配当を受ける場合の二重課税排除・179
  ⑧ その他・182
  ⑨ 施行時期・183
 2 移転価格税制の見直し・183
 3 外国税務当局との情報交換・186
 4 租税特別借景等の改正・187

Ⅵ その他の改正
  ① 燃料課税の暫定税率の見直し・192
  ② 車体課税の暫定税率の見直し・192
  ② 自動車グリーン税制(自動車税)の見直し・延長・193
  ④ 自動車グリーン税制(自動車取得税)の延長・194
  ⑤ エコカー減税の維持等・195
  ⑥ 地球温暖化対策のための新税の検討・196