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平成26年度  法人税<租税特別措置法>税制改正詳解

朝長  英樹【監修】

竹内  陽一【編集】
浅野 洋  妹尾 明宏 有田 賢臣 飯田聡一郎 神谷 紀子
佐々木克典 武田雅比人 内藤 忠大 中尾 健  鈴木 達也
長谷川敏也 藤野 智子 棟田 裕幸 保坂 裕司【共著】

A5判・単行本・293ページ

清文社(2014/12/19)

定価2,500円(税別)

 

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は し が き

 

 本書は、平成26年度税制改正の中の法人税関係の政策措置を中心に解説するものです。

 

 平成26年度税制改正は、デフレからの脱却と経済再生を目指して企業等の投資行動を加速化させる等の観点に立って行われています。このため、平成26年度税制改正は、例年の年度改正以上に、政策措置という性格が強く出た改正となっています。また、この平成26年度税制改正は、適用対象が広く、かつ、減税規模が非常に大きくなっている点でも、例年の年度改正とは異なっています。特に、生産性向上設備投資促進税制は、非常に多くの企業が適用できるものであり、減税規模も、従来の政策措置とは格段に異なっています。

 

 この生産性向上設備投資促進税制の適用対象資産は、「A:先端設備」と「B:生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」とされていますが、これらに該当する資産は、非常に範囲が広くなっており、「機械装置」、「工具」、「器具備品」だけでなく、「建物」、「建物附属設備」、「構築物」、「ソフトウエア」も対象となっています。

 

 また、平成26年度税制改正によって拡充された所得拡大促進税制も、非常に多くの企業が適用できる税制となっています。平成26年度税制改正により、雇用者給与等支給増加割合の要件が従来の5%以上から2%以上(平成27年4月1日から平成28年3月31日までに開始する事業年度は3%以上、平成28年4月1日から平成30年3月31日までに開始する事業年度は5%以上)に拡大されたことから、適用対象法人が大きく広がっています。また、従来から多くの企業で適用されてきた試験研究費の増加額に係る税額控除の制度に関しても、税額控除割合が従来の5%から、増加割合に応じて控除割合が5%から30%まで増加する仕組みに改組されています。

 

 これらの措置とは性格が異なりますが、平成26年度税制改正においては、交際費課税の制度が緩和され、交際費の内の飲食のための支出(社内接待費を除きます。)の50%が損金に算入されることになっています。また、平成26年度税制改正においては、地方団体の税源の偏在を是正するために、地方法人税が創設されています。

 

 このように、平成26年度税制改正は、非常に広範に多くの企業に大きな影響を与える改正となっており、また、平成27年決算の実務と申告等を迎える実務家にとっては、例年の年度改正以上に、積極的な取組みと対応が求められる非常に重要な改正となっています。

 

 本書がこのような平成26年度税制改正を理解する手助けとなるようであれば、幸いです。

 

最後に、本書の刊行にご助力を賜わりました清文社の東海林良氏に著者を代表して御礼を申し上げます。

 

 

 平成26年11月

 

                                           日本税制研究所代表理事  朝長 英樹

                                           一般社団法人FIC代表理事 竹内 陽一

目 次

 

第1章 生産性向上設備投資促進税制

 

  第1節 制度創設の趣旨等……………………………………………3

 

  第2節 概要………………………………………………………………7

    1 事業年度ごとの具体的な処理…11

    1.平成26年1月20日(産業競争力強化法の施行日)から平成28年3月31日まで…11

    2.平成28年4月1日から平成29年3月31日まで…12

    3.平成26年4月1日前に終了した事業年度の取扱い…12

    2 リースの取扱い…13

    3 特定生産性向上設備等に値引きがあった場合の修正…15

    4 適用対象資産を2以上取得した場合の特別償却と税額控除の選択適用…16

    5 申告書記載例…18

 

  第3節 対象設備………………………………………………………21

    1 先端設備(A 類型)…23

    1.最新モデル要件(経産省産競法規5一イ)… 26

    2.生産性向上要件(経産省産競法規5一ロ)… 26

    3.機能要件(ソフトウエア) 28

    2 生産ラインやオペレーションの改善に資する設備(B 類型)… 29

    1.投資利益率…30

    2.投資計画の策定単位…30

    3.想定される類型…31

    3 取得価額要件(措令27の12の5②・③・⑤)… 32

 

  第4節 対象者…………………………………………………………42

 

  第5節 確認・申請方法等……………………………………………43

    1 先端設備(A 類型) 43

    2 生産ラインやオペレーションの改善に資する設備(B 類型)…44

    1.要件確認スキーム…44

    2.確認申請書の記載事項及び申請の留意点等…46

    3.投資計画に変更があった場合…60

    4.公認会計士又は税理士の事前確認…62

    5.投資計画の履行状況の報告…70

 

  第6節 中小企業者等に対する上乗せ措置………………………72

    1 概要…72

    2 中小企業投資促進税制の内容…72

    1.概要(措法42の6①・⑦)… 72

    2.中小企業者等の意義(措法42の4⑥、42の6①、措令27の4⑩)…73

    3.対象資産及び適用要件…73

    3 上乗せ措置の内容…75

    1.中小企業投資促進税制の税制上乗せ措置…75

    2.先端設備(A 類型)の範囲の拡充…75

    3.中小企業者等に対する上乗せ措置の対象設備リスト…76

 

第2章 所得拡大促進税制

 

  第1節 経緯・趣旨等…………………………………………………83

 

  第2節 制度の概要……………………………………………………84

 

  第3節 制度の詳細……………………………………………………87

    1 適用年度…87

    1.国内雇用者…87

    2.給与等…88

    2 適用要件…89

    3 雇用者給与等支給増加額及び雇用者給与等支給額…90

    1.雇用者給与等支給額…90

    2.出向者の取扱い…91

    4 基準雇用者給与等支給額…95

    1.原則…95

    2.基準事業年度がない場合…96

    3.組織再編成が行われた場合…97

    4.その他特殊な場合に該当する場合…97

    5 比較雇用者給与等支給額…99

    6 平均給与等支給額…100

    1.継続雇用者に対する適用年度の給与等支給額…100

    2.継続雇用者に対する給与等支給者数…101

    3.平均給与等支給額…102

    7 比較平均給与等支給額…103

    1.比較給与等支給額…104

    2.比較給与等支給者数…104

    3.比較平均給与等支給額…104

    8 税額控除限度額等…105

    1.税額控除限度額…105

    2.申告要件…107

    3.法人税法の規定との調整…108

    9 上記の月数計算…109

 

  第4節 適用関係……………………………………………………110

 

  第5節 平成26年度税制改正の経過措置………………………111

    1 経過措置の対象となる事業年度…111

    1.経過措置の対象とならない事業年度(経過年度に該当しない事業年度) 112

    2.対象経過年度…112

    2 経過措置の内容…113

    1.税額控除限度額…113

    2.控除上限額…113

 

  第6節 事例1―1(中小法人等。基準事業年度のある場合)…114

 

  第7節 事例1―2(中小法人等。基準事業年度のある場合)…117

 

  第8節 事例1―3(中小法人等。基準事業年度のある場合)…120

 

  第9節 事例2(中小法人等。新設法人の場合)……………123

 

  第10節 事例3(中小法人等。基準事業年度があるが基準給与等を支給していない場合)
       ………………126

 

  第11節 事例4(中小法人等。一般被保険者が存在しない場合) …………129

 

  第12節 事例5(大法人。出向元法人の事例)………………132

 

  第13節 連結納税制度………………………………………………136

    1 適用対象法人及び適用年度136

    2 適用要件における給与等の支給額の計算137

    3 連結法人税の個別帰属額の計算138

 

第3章 組織再編成と所得拡大促進税制

 

  第1節 組織再編成と所得拡大促進税制………………………141

    1 概要141

    2 平均給与等支給額に係る要件の改正142

    3 調整対象基準年度142

 

  第2節 合併法人……………………………………………………144

    1 基準雇用者給与等支給額の調整計算144

    2 適用年度において行われた合併に係る合併法人144

    3 基準事業年度等の開始の日から適用年度開始の日の前日までの
   期間内において行われた合併に係る合併法人145

    4 合併により設立した合併法人146

    5 その他特殊な場合の基準雇用者給与等支給額148

    6 合併があった場合の比較雇用者給与等支給額150

    7 合併があった場合の平均給与等支給額151

 

  第3節 分割法人等…………………………………………………152

    1 基準雇用者給与等支給額の計算152

    2 適用年度において行われた分割、現物出資又は現物分配に係る分割法人等152

    3 基準事業年度等の開始の日から適用年度開始の日の前日までの
   期間内において行われた分割、現物出資又は現物分配に係る分割法人等154

    4 その他特殊な場合の基準雇用者給与等支給額155

    5 分割等が行われた場合の比較雇用者給与等支給額157

    6 分割等が行われた場合の平均給与等支給額158

 

  第4節 分割承継法人等……………………………………………159

    1 基準雇用者給与等支給額の計算159

    2 適用年度において行われた分割等に係る分割承継法人等159

    3 基準事業年度等の開始の日から適用年度開始の日の前日までの
   期間内において行われた分割、現物出資又は現物分配に係る分割承継法人等161

    4 分割等により設立した分割承継法人等162

    5 その他特殊な場合の基準雇用者給与等支給額164

    6 分割等があった場合の比較雇用者給与等支給額165

    7 分割等があった場合の平均給与等支給額165

 

第4章 試験研究費に係る税額控除

 

  第1節 試験研究費に係る税額控除の概要……………………169

 

  第2節 試験研究費の総額に係る税額控除……………………171

    1.概要171

    2.対象法人171

    3.適用事業年度171

    4.税額控除割合172

    5.試験研究費割合172

    6.控除限度額及び繰越控除174

    7.重複適用の禁止175

    8.住民税の不適用175

 

  第3節 特別試験研究費に係る税額控除………………………177

    1.制度の背景177

    2.概要177

    3.対象法人178

    4.適用事業年度178

    5.税額控除割合179

    6.控除限度額及び繰越控除179

    7.重複適用の禁止180

    8.住民税の不適用180

 

  第4節 中小企業技術基盤強化税制……………………………181

    1.概要181

    2.対象法人181

    3.適用事業年度182

    4.税額控除割合182

    5.控除限度額及び繰越控除182

    6.重複適用の禁止183

    7.住民税の適用183

 

  第5節 試験研究費の額が増加等した場合の税額控除……185

    1.概要185

    2.対象法人187

    3.適用事業年度187

    4.統一的計算187

    5.控除限度額及び繰越控除188

    6.住民税の適用188

 

  第6節 税額控除の対象となる試験研究費の範囲…………190

    1 試験研究費の意義190

    2 試験研究費の範囲191

    1.委託研究費192

    2.自社の試験研究費の把握192

    3.原材料費195

    4.人件費195

    5.試験研究に係る経費198

    6.補助金や他社から受けた受託研究費199

    7.製造原価に含まれる試験研究費200

 

  第7節 特別試験研究費の範囲……………………………………202

 

  第8節 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の改正の変遷……………………208

    1.総額に係る税額控除制度208

    2.増加額等に係る税額控除209

 

第5章 環境関連投資促進税制

 

  第1節 制度の概要…………………………………………………213

 

  第2節 対象設備……………………………………………………219

 

  第3節 申告書の記載例……………………………………………223

    1 設例1 プラグインハイブリッド自動車(特別償却と税額控除) 223

    2 設例2 太陽光発電設備(即時償却) 226

    参考資料平成26年度税制改正における対象設備の変更…………………228

    関連ホームページアドレス

    平成26年3月30日財務省告示別表

 

  第6章 法人税額超過額

    1 改正前の制度の概要237

    1.概要237

    2.税額控除可能額237

    3.法人税額超過額の繰越控除238

    4.明細書の添付等238

    2 改正の内容239

    3 適用関係239

    4 対象となる租税特別措置法239

 

  第7章 交際費等の損金不算入制度

 

  第1節 交際費等の損金不算入制度の改正……………………245

    1 1/2損金算入制度の創設245

    2 中小法人の特例247

    3 適用関係249

 

  第2節 経緯・趣旨他……………………………………………251

    1 経緯・趣旨251

    1.改正前の制度の概要251

    2.改正の趣旨251

    2 交際費等の範囲252

    1.交際費等の範囲252

    2.飲食その他これに類する行為の範囲253

    3.少額飲食費の範囲254

    4.社内飲食費の範囲256

    5.福利厚生費・給与等・会議費の範囲257

    6.パーティー券・ゴルフ時の飲食等の取扱い258

 

  第3節 別表15記載方法……………………………………………260

    1 事例1.(中小法人のケース) 263

    2 事例2.(中小法人のケース) 265

    参考資料「接待飲食費に関するFAQ」……………268

 

  第8章 地方法人税の創設

 

  第1節 地方法人税の創設と地方法人特別税の法人事業税への
    復元………………………………………277

 

  第2節 法人住民税法人税割額の引下げ………………………278

 

  第3節 地方法人税の内容…………………………………………280

 

  第4節 地方法人税と法人住民税の法人税割の

    制度の差異(欠損金関係と連結納税)………………285

 

  第5節 法人実効税率への影響……………………………………286

    参考資料「地方法人税が創設されました」………………288